となりまちの農家さん 根岸隆好さん(三鷹市)
三鷹で人気の庭先直売所「ファーマーズショップ根岸直販所」の根岸隆好さんに会いにいきました!三鷹市新川、杏林大学の南側です。
朝10時オープンの庭先直売所は、野菜の少ないこの時期でも10種類くらいのとれたての野菜が並んでいます。オープン直後から、お客さんがちらほらと訪れます。この日のラインナップはのらぼう菜、水菜、ほうれん草、春菊、大根、人参、ブロッコリー、そしてネギ。どれもみずみずしくおいしそうでした。なんといっても、安いです…!住宅地の中の直売所ということで、根岸さんの野菜は7割以上がこの庭先直売所で販売されるそうです。昨年からはコロナの影響か、直売所に初めて来る方や若いお客さんも増えているとのこと。近所の畑で育った新鮮な野菜が気軽に手に入る、お宝スポットです。
家業の農家を継ぐ前はサラリーマンで営業職をしていたという根岸さん。農家を継いだことについては、継ぎやすい環境があったといいます。
「親世代の農家さんたちががんばって農地が残せるようにしてくれていたんです」と根岸さん。東京の郊外に住宅地としての需要が高まり、続々と住宅がつくられていた時代に農地を守る人たちがいたからこそ、今日の都市農業の姿があるのでしょう。今は根岸さんの世代の農家さんたちが中心となり、様々な活動を通して地域と連携し、東京の農業の意義を伝えています。
飛地でいくつかある根岸さんの畑のうち、近くにある畑にも案内していただきました。「都市農業的風景」と根岸さんが言うように、露地の畑とハウスがあって住宅に囲まれている畑。確かに。あまり意識したことがありませんでしたが、東京の農業ならではの風景なのかもしれません。
さて、端境期の畑はもう全て入れ替え中かと思いきや、ずらっと並ぶミニ白菜が。これはこの後に出てくる菜花を収穫するためにとっておいてあるそうです。スーパーではあまり見かけることのない白菜の菜花は「3月くらいかなー」とのこと。楽しみです。
ハウスの中では、朝の直売所に並んでいた春菊や水菜などがもりもりと育っていました。この寒い時期でもおいしい葉物野菜が食べられるのはとてもありがたいです。根岸さんの畑はここを含めて市内に4か所。野菜が途切れないように少しずつ時期を調整しながら、年間を通して50品目くらいを育てているそうです。同じ野菜でも植え付けの時期を少しずらしたりという工夫もあり、植えたものをそれぞれの時期に合わせてお世話をし、順番に収穫し、そして次の植え付けの準備……。このサイクルがバラバラに何本も走っているという状態。聞いているだけでも管理の大変さがうかがえます。
根岸さんは先日おじゃました森屋さんと同じく、配達サービス「チリンチリン三鷹」の立ち上げメンバーです。この辺りの農家さんたちの地域に対する積極的な取り組みについて、「農業はいろんな側面で参加できる」と根岸さん。地域に新鮮な野菜を届けること以外にも、災害時や緊急時に、また子どもたちの教育などにも、農家や農地が担える役割がたくさんあり、そして地域もまた、そうしたことを農家さんたちに期待しているのだと思います。農家さんに会いにいくようになり、まちの中の畑のありがたさをじわじわと感じております。いつかの時のための支え合いによって、地域のバランスは成り立っているのかもしれません。
ちなみに、根岸さんからは「でも、楽しくてやってるっていうのがいちばんの理由です」という嬉しい言葉も聞けました!
根岸さんの野菜は庭先直売所「ファーマーズショップ根岸直販所」のほか、JAの直売所で購入できます。庭先直売所には両替機あり。
【ファーマーズショップ根岸直販所】
三鷹市新川6-3-7
毎日10:00よりオープン。不定休。