【5年間のとなりまちプロジェクトをふりかえる!武蔵野市観光機構(むー観)編】
2018〜2022年度にわたって行われた「となりまちプロジェクト」が、この3月で一区切りを迎えます。武蔵野市・三鷹市・小金井市という隣接するエリアで、それぞれの市と3つの観光協会が事務局となり、市域を越えて交流人口を増やそうと取り組んだ5年間。変わったことや変わらなかったこと、そしてこれから先のこと…。それぞれの観光協会に話を聞きました。
地域の特色を活かし合い、ゆるやかにつながり続ける
中央線でつながる3市の中で最も都心に近く、吉祥寺という特徴のあるエリアを含む武蔵野市にとって、となりまちプロジェクトはどういう試みだったのでしょうか。武蔵野市観光機構(むー観)の事務局長である髙橋勉さんは、2018年当初から5年間を通してプロジェクトに携わった一人です。
「武蔵野市は三鷹や小金井と、それぞれのまちの特色を活かしたもので、何かしら人が回遊するような連携はできるだろうと思っていた」と高橋さん。それがかたちになったのが、2019年度に実施した、3市それぞれのまちを歩く「となりまちツアー」でした。
小金井市では農地や農産物の直売所が点在する「江戸の農家みち」などを歩き、三鷹では「『家と宿』を考えるツアー」としてまちを歩き交流し、武蔵野市のツアーは吉祥寺エリアで5つのパン屋さんを巡りました。
それぞれの企画に3市エリアから参加者があり、交流が生まれたとなりまちツアーでした。こうした地域の特色を活かした企画を、3市が声をかけ合って発信し交流を促すという動きは、「となりまちプロジェクトに合っていた」と高橋さん。コロナ禍を経た今後の地域の観光について次のように話しました。
「世の中の人のお金の使い方が変わった気がします。使わない人はとことん使わなくなったし、一方で使う人は以前よりも使うようになった。商業振興や産業振興という視点では、お金の使い方が二分化されたことを踏まえて、見せ方を変えていかないといけないと思っています。例えば飲食店であれば、コロナ禍で客席を間引いてゆったり座れるようになったので、そのスタイルを残して単価を上げる。そんな付加価値をつけた商売の目線でもいいと思うし、そういう時代になってきていると思います」
さらに、産業振興や観光事業における事業スパンや予算の運用など、課題と感じる面も教えてくれました。
「予算を決めてから実施するまでに1年以上の時間が過ぎることもあり、いざ実施の時期になるとその計画がすでに合わなくなっていることもあります。今は社会の変化も激しいので、もっと短いスパンで考える必要があるし、状況に応じて展開できるようにしないといけない」と高橋さん。それでも地域のこれからの観光については「広域連携でやらないとダメだと思う」といいます。
「となりまちプロジェクトを通じて、改めて3市の特色が見え、この連携はやってよかったと思っています。この先はゆるやかに連携を続けていき、それぞれの特色を活かした企画を、自分のまちだけで発信するのではなく、お互いに紹介し合って人を呼び込み合うのがいいんじゃないかなと思っています」