となりまちの農家さん K’sファーム・榎本一史さん(武蔵野市)
武蔵境駅から北に歩いて20分ほど。玉川上水と千川上水にはさまれた関前には、昔からの農地が今も住宅街に点在しています。K’sファームの榎本一史さんは、都心勤めのサラリーマンから転身し農家となって4年目。「地域の野菜を地域で食べてほしい」というシンプルな思いで、父親の一宏さんとともに野菜をつくっています。
取材に訪れた日はなんとシーズン初の雪。朝から勢いよく降り始めた雪で、住宅に囲まれた榎本さんの畑も真っ白でした。武蔵野の住宅郡の中でたくさんの野菜をつくり続けてきた、存在感のある畑です。一宏さんの代から市内の学校給食に使う野菜をメインにつくり、現在は生産量の8割以上が給食野菜。一史さんのお子さんが通う最寄りの小学校を含め、市内の10校ほどの学校で生徒たちが毎日榎本さんの野菜を食べています。
祖父と父親が畑で野菜をつくる姿を見て育った一史さん。幼少期にはまだまだ周りに住宅は少なかったそうです。会社勤めをしていたものの、この先、自分がやらないと畑がなくなってしまうという事実に直面し「それはまずい」と一念発起。家族を説得して農業の道へ。一宏さんとともに、食品安全や環境保全、労働安全などの一定の基準を満たす「東京都GAP認証」を取得し、給食野菜の生産だけでなく近隣小学校の体験授業なども受け入れ、地産地消を推進しています。
榎本さんの畑でつくられるのは、小松菜やブロッコリー、大根、白菜など食卓のレギュラー陣から、ルッコラやパクチーなど個性派の野菜まで。シーズンを待つアスパラゾーンもありました。そして今後は、パパイヤや沖縄野菜にも挑戦したいと一史さん。これからの季節が楽しみです。
榎本さんの野菜は学校給食がメインですが、今の時期は「JA東京むさし 武蔵野新鮮館」でブロッコリーに出会えるかもしれません(「榎本一宏」さんのお名前で出ています)。夏野菜の時期には畑の向かい側にあるご自宅の一角で直売所もオープン。トウモロコシやオクラなど、季節の野菜が並ぶそうです。夏が待ち遠しい…!
【K’sファーム】
武蔵野市関前2-29
「武蔵野市農産物直売所マップ」<19番>が榎本一宏さん・一史さんの直売所です(夏野菜シーズンのみ)。http://www.city.musashino.lg.jp/_res/projects/default_project/_page_/001/005/806/R112map.pdf